包丁人ルビィ歌詞
包丁人ルビィ
ルビィ「うひぃ、ひぃ……ふぅ……えーーいっ!」
曜、果南「危ないー!」
ルビィ「ひぃーー!」
果南「ちょっ、何してるのルビィちゃん!」
ルビィ「え……ルビィ、果南さんに言われたとおりに」
果南「言ってない言ってない、包丁を逆手に持ってなんて」
ルビィ「ええ!?じゃあ……こう?」
曜、果南「危なーーい!」
ルビィ「いやっ!」
曜「なんで葉のほうを持つの!?」
ルビィ「え?だって、違うって言われたから、えくっ……だ、だから……えくっ……へへええええぇーー……」
曜「うっ、ごめん、その……怒ったわけじゃ… …」
果南「怒ってるよ」
曜「って、果南ちゃん?」
果南「ルビィちゃん、そんなことで、立派な職人になれると思ってるの?」
ルビィ「えぇー!?」
曜「職人って……」
果南「いい、ルビィちゃん?職人にとって、道具は命なの、自分自身なの、魂なのっ!」
ルビィ「は、はい?」
果南「ルビィちゃんには、その魂が欠けているの」
ルビィ「ええい!?た、魂が欠けてるの?じゃあ、今、ルビィって……ゾンビーーっ!」
曜「そういうことを言ってるんじゃないと思うけど……」
果南「特訓よルビィちゃん!立派な板前になるために」
ルビィ「はい!」
曜「いやいや、目指してないよね、板前」
果南「それくらいの気持ちがないとだめってこと」
果南「お刺身もシンプルだけど、ほんとに奧が深い料理なんだから」
果南「『魚をうまくする』と書いて、『すし』と読むんだから」
曜「って、壽司になってるし」
果南「さあ、ルビィちゃん。まずは、包丁を磨ぐところから始めるよ」
ルビィ「はい!」
曜「いやいや、もう板前修業はいいから」
ルビィ「じゃあ、なに修業?」
曜「なに修業もしなくていいから」
果南「じゃあ曜ちゃんが修業するーー」
曜「しないからっ!って言うかこれ、そういう集まりじゃないから」
果南「曜ちゃんーー」
曜「きゃっー……えっ……果南……ちゃん?」
果南「曜ちゃん。どうしてそんなムキになって邪魔しようとするの?」
曜「へええーー!?」
果南「ひょっとして、あれ?包丁になんかいやな思い出でもあるの? 」
曜「いや……ないけど……」
果南「なんか、人には言えない、包丁に纏わるトラウマがあるの?幼少時に、なんか體験したみたいな」
曜「だからないって!って言うか知ってるでしょう、幼馴染みなんだから。そういうことなかったって」
果南「じゃあ、なんで包丁を毛嫌いするの?」
曜「毛嫌いしてないよ。どうしちゃったの?果南ちゃん」
果南「今宵の包丁は、血に飢えている」
曜「へええーー!?」
果南「って言うのは冗談で、ほら、包丁って料理の基本でしょう?」
果南「一応年長者として、怪我とかしないように基本だけでも教えようかなって」
曜「はっ、そういうこと~」
ルビィ「うわ、やっぱり果南さん、頼りになる」
曜「え、えへへへ、そうだよね。私、ひょっとして、普段あんまりぼけないこの三人だから、」
曜「果南ちゃんがボケ役にやってるのかなって」
果南「そんなわけないでしょう。包丁を使ってるんだもの、ぼけてたら危ないんじゃない」
曜「そ、そうだよね。ま、普通はそうだよね」
果南「と、いうわけで。ちっとも面白くはないと思うけど、今回は真面目な包丁の使い方教室ってことで」
曜、ルビィ「はーい」
曜「って言うか、私普通に料理とかするから、まあ包丁も」
果南「曜ちゃん」
曜「えっ、な……なに?」
果南「舐めてると痛い目見るよ、包丁だけに」
曜「や、やっぱり今日の果南ちゃん、かなりボケ入ってない?」
果南「でも、確かに曜ちゃんは料理とか得意だしね」
果南「よし、じゃあ、ここは、板前見習いのルビィちゃんの集中特訓だ!」
ルビィ「よ、よろしくお願いします」
曜「だから、板前目指してないって!」
果南「さあルビィちゃん、『包丁』の『包』は?」
ルビィ「え?」
果南「だから、『包丁』の『包』、は?」
ルビィ「え、え、え、えっと、えっとーー曜ちゃん!」
果南「だめ、人に聞いたら。曜ちゃんも教えちゃだめだよ」
曜「教える以前に、私もわからないけど……」
果南「ほらルビィちゃん。『包丁』の『包』、基本だよ」
ルビィ「基本なの? 」
果南「基本なの」
ルビィ「え、えーと、ほ、ほ……」
果南「十、九、……六(カントし続ける)」
曜「カントだ、始まった……」
ルビィ「えーと、えーと……」
果南「五四三二!」
曜「早くなった!?」
果南「一!」
ルビィ「ほ、ほうちょうのほは、ホップステップジャンプのほーーっ!」
果南「ルビィちゃん」
ルビィ「は、はい?」
果南「あのさ、ひょっとして……ふざけてる?」
ルビィ「へええ!?」
曜「ちょ、ちょっ果南ちゃん、ルビィちゃんも、その……がんばった?わけだし……」
果南「曜ちゃん」
曜「うっ、は、はい(正立)」
果南「代わりに曜ちゃんが言ってあげて。『包丁』の『包』が、何なのか?」
曜「……へ? 」
果南「曜ちゃんはわかってるよね、先輩だし。料理も得意なんだしー」
曜「え、えっと……えーっと……ほ、ほ、ほっ……ホームランー!……とか」
果南「曜ちゃん」
曜「は、はい!違いました、ごめんなさい」
果南「二人とも本気になってよ。包丁の気持ちになってよーっ」
曜、ルビィ「包丁の気持ち?」
果南「ルビィちゃんも曜ちゃんも、包丁をただの包丁としか思ってないでしょう」
ルビィ「へえ!?」
曜「いや、だって……包丁だし……」
果南「包丁はね、命を頂く、その形なの!」
曜、ルビィ「命を頂くその形? 」
果南「そう、『包丁』の『包』って言う感じ。『つつむ』って言う字でしょう?」
ルビィ「わっ!」
曜「言われてみれば… …」
果南「命を包み込む、そういう重いものを包丁は持っているのーー」
果南「軽々しく手にしちゃいけないものなのっ!」
ルビィ「は、はい……」
曜「いや、その中途半端にリアリティがって、何が何だか……」
ルビィ「は、わかったっ!」
曜「え?」
ルビィ「ルビィ、わかったよ!果南さん!」
曜「え?え、って言うか、何がわかったの?」
ルビィ「『包丁』の『包』は……」
曜「あ、そこに戻る……」
ルビィ「『包丁』の『包』は、ほっぺたのほーーっ!」
果南「違いまーす」
ルビィ「え、え……じ、じ、じゃあ……う、う、うえぇ、えっ……ほっきょくぐまのほーーっ!」
果南「違いまーす」
ルビィ「えーー……じ、じゃあ……じゃあ……ううぅ… …ほうこうてんかんのほーーっ!」
果南「ルビィちゃん!」
ルビィ「は……はい?」
果南「包丁の『ほ』は、『ホスピタリティー』の『ホ』」
曜、ルビィ「『ホスピタリティー』?」
果南「そう、これからニッポンに求められてるのは、『ホスピタリティー』なの」
果南「包丁一本にホスピタリティを込めるのがONEの心なの」
果南「ホスピタリティーに始まり、ホスピタリティーに終わるのが『ホスピタリティー』なの。分かる?このホスピタリティーっ!」
曜「……へー?」
果南「曜ちゃんは、分かってるよね」
曜「へ?えっと……たぶん?」
果南「じゃあ、ちゃんと言ってみてー、ホスピタリティーって十回」
曜「言わないよ、っていうか、果南ちゃんだってちゃんとわかってるの?……ほすーぴたりてぃー?」
果南「決まってるでしょう?ほ、ほすーやうぇい」
曜「う、急に言えてないし」
果南「とにかく、包丁は理屈じゃないの、魂なの!
ルビィ「たましい、そうだよね!たましいがだいじだよね!たましいがないとゾンビだもんね! 」
曜「そのネタ、まだ引っ張ってたの?」
果南「ルビィちゃんっ」
ルビィ「はい!」
果南「包丁人になりたいかーーー!」
ルビィ「おおぉーーー!」
曜「いや、なに包丁人ってーっ」
果南「ルビィちゃん、『人』という字は、人が包丁を斜めに持ってたって出來ているの」
ルビィ「ほ、ほ、ほーーーっ!」
曜「いや、なにその新説?」
果南「さあ、ルビィちゃん!」
ルビィ「はい!」
果南「包丁をー!」
ルビィ「持ちます!」
果南「持ちませーん!」
ルビィ「え……?」
果南「まずは包丁を、見る!」
ルビィ「みる!」
果南「そう、見て學ぶのがニッポン、そして、東洋の學びの基本なの」
ルビィ「は、はい……う、ひぃ、みる……みる…… !」
曜「いや、包丁を見て、どうなるの?」
果南「包丁が入ってくる」
曜「入ってくる!?」
果南「そう、包丁をじっと見ることで、包丁が自分に入ってきて、そして、包丁と一つになっているの」
ルビィ「へ、深いね」
曜「っていうか、ちょっと微妙に怖いけど…… 」
果南「さあ、包丁と一つになった?」
ルビィ「……へひ……な……なった……かも」
果南「よし!じゃあ始めるよ」
ルビィ「よろしくお願いしますっ!」
曜「あの……」
果南「まずは三枚おろしから、この捕れ立て新鮮の鯵を捌いてもらうよ」
ルビィ「ひ、うひぃ……は、はい……う、ひ、うぃーー」
曜「あのー、ちょっとー……」
ルビィ「ひぃー……魚が、こっち見たよー」
果南「それはそだって、捕れ立てだもん」
ルビィ「ひぇー……」
曜「あのね、だから、ちょっとー……」
ルビィ「ひやぁ、あ、は、はねたよー」
果南「それはそだよ、捕れ立てだもの」
ルビィ「口が、ぱくぱくしてるっ」
果南「捕れ立てだものー」
ルビィ「鱗がついたー! 」
果南「捕れ立てだものー」
ルビィ「立った!」
果南「捕れ立てだものー」
ルビィ「自分で歩いて、扉を開けて、外に出てバスに乗って、船をちゃーたーして故郷の海にーっ!」
曜「そんな魚はいなーーい!」
ルビィ「ひいぃーー!ご、ごめんなさい、そういうことになれば、お魚を捌かなくてもよくなるかもって」
曜「いいよ」
ルビィ「え?」
曜「だから。捌かなくて、いいよ」
ルビィ「……い、いいの?」
曜「っていうかこれって、クリスマスパーティーの料理を作ろうっていう集まりだよね」
果南「そうだよ」
ルビィ「そうだったの!?」
曜「いや、ルビィちゃんなんの集まりだと思ってたの?」
ルビィ「ルビィはその、果南さんの包丁教室だと」
果南「そうだよ」
曜「そうじゃないよ」
果南「そういう面もあるってこと、包丁は料理の基本だから」
曜「けど、クリスマスケーキを作るのに、三枚おろしは必要ないでしょう?」
果南「必要あるよ。ほら、間にクリームを挾むために、ケーキを橫に三枚にーっ」
曜「それは、三枚おろしとは言わないって」
果南「とにかく包丁は必要だよ。とくに、今回はパーティーの場所が場所だし」
曜「… …へ?」
ルビィ「場所と包丁となにか関係があるの?」
果南「あるよ。だから、ルビィちゃん!」
ルビィ「は、はい」
果南「パーティーの時には、ちゃんと體に曬しを巻いて、そこに包丁を刺していてね」
ルビィ「へーーーーいっ!?」
曜「なに、その昔の任俠映畫みたいなファッション!」
果南「もしものためだよ」
曜「どんな、もしも、なの!?」
果南「何が起こってもいいように?護身用?」
曜「ないよ!包丁を護身用に使うようなことは」
果南「あるってー」
曜「ないってー!」
果南「そんなこと言って……二人ども、知ってるでしょう」
曜、ルビィ「へ?」
果南「今度のパーティー、どこでやるか」
ルビィ「どこで?」
曜「知ってるけど、別に危ないところじゃ……」
果南「危ないよ!だって、ヤバコーヒーだもん」
曜「…………へ?……あの……それはひょっとして、ヤバコーヒーだから……やばい!みたいな?」
果南「さあ、ルビィちゃん!特訓だよー」
ルビィ「あ、は、は、はいっ!」
曜「ちょっと、果南ちゃん?」
果南「ちがうちがう、包丁の握り方はそうじゃなくてー」
ルビィ「え?じゃ、じゃー……こう?」
曜、果南「危なーーーーい!」
ルビィ「びぎいいいぃーっ!」
果南「やばーーーーい!」
曜「だからやばくないって!ヤバコーヒーはーーー!」
<おわり>
お聞きになってありがとうございます
ルビィ「うひぃ、ひぃ……ふぅ……えーーいっ!」
曜、果南「危ないー!」
ルビィ「ひぃーー!」
果南「ちょっ、何してるのルビィちゃん!」
ルビィ「え……ルビィ、果南さんに言われたとおりに」
果南「言ってない言ってない、包丁を逆手に持ってなんて」
ルビィ「ええ!?じゃあ……こう?」
曜、果南「危なーーい!」
ルビィ「いやっ!」
曜「なんで葉のほうを持つの!?」
ルビィ「え?だって、違うって言われたから、えくっ……だ、だから……えくっ……へへええええぇーー……」
曜「うっ、ごめん、その……怒ったわけじゃ… …」
果南「怒ってるよ」
曜「って、果南ちゃん?」
果南「ルビィちゃん、そんなことで、立派な職人になれると思ってるの?」
ルビィ「えぇー!?」
曜「職人って……」
果南「いい、ルビィちゃん?職人にとって、道具は命なの、自分自身なの、魂なのっ!」
ルビィ「は、はい?」
果南「ルビィちゃんには、その魂が欠けているの」
ルビィ「ええい!?た、魂が欠けてるの?じゃあ、今、ルビィって……ゾンビーーっ!」
曜「そういうことを言ってるんじゃないと思うけど……」
果南「特訓よルビィちゃん!立派な板前になるために」
ルビィ「はい!」
曜「いやいや、目指してないよね、板前」
果南「それくらいの気持ちがないとだめってこと」
果南「お刺身もシンプルだけど、ほんとに奧が深い料理なんだから」
果南「『魚をうまくする』と書いて、『すし』と読むんだから」
曜「って、壽司になってるし」
果南「さあ、ルビィちゃん。まずは、包丁を磨ぐところから始めるよ」
ルビィ「はい!」
曜「いやいや、もう板前修業はいいから」
ルビィ「じゃあ、なに修業?」
曜「なに修業もしなくていいから」
果南「じゃあ曜ちゃんが修業するーー」
曜「しないからっ!って言うかこれ、そういう集まりじゃないから」
果南「曜ちゃんーー」
曜「きゃっー……えっ……果南……ちゃん?」
果南「曜ちゃん。どうしてそんなムキになって邪魔しようとするの?」
曜「へええーー!?」
果南「ひょっとして、あれ?包丁になんかいやな思い出でもあるの? 」
曜「いや……ないけど……」
果南「なんか、人には言えない、包丁に纏わるトラウマがあるの?幼少時に、なんか體験したみたいな」
曜「だからないって!って言うか知ってるでしょう、幼馴染みなんだから。そういうことなかったって」
果南「じゃあ、なんで包丁を毛嫌いするの?」
曜「毛嫌いしてないよ。どうしちゃったの?果南ちゃん」
果南「今宵の包丁は、血に飢えている」
曜「へええーー!?」
果南「って言うのは冗談で、ほら、包丁って料理の基本でしょう?」
果南「一応年長者として、怪我とかしないように基本だけでも教えようかなって」
曜「はっ、そういうこと~」
ルビィ「うわ、やっぱり果南さん、頼りになる」
曜「え、えへへへ、そうだよね。私、ひょっとして、普段あんまりぼけないこの三人だから、」
曜「果南ちゃんがボケ役にやってるのかなって」
果南「そんなわけないでしょう。包丁を使ってるんだもの、ぼけてたら危ないんじゃない」
曜「そ、そうだよね。ま、普通はそうだよね」
果南「と、いうわけで。ちっとも面白くはないと思うけど、今回は真面目な包丁の使い方教室ってことで」
曜、ルビィ「はーい」
曜「って言うか、私普通に料理とかするから、まあ包丁も」
果南「曜ちゃん」
曜「えっ、な……なに?」
果南「舐めてると痛い目見るよ、包丁だけに」
曜「や、やっぱり今日の果南ちゃん、かなりボケ入ってない?」
果南「でも、確かに曜ちゃんは料理とか得意だしね」
果南「よし、じゃあ、ここは、板前見習いのルビィちゃんの集中特訓だ!」
ルビィ「よ、よろしくお願いします」
曜「だから、板前目指してないって!」
果南「さあルビィちゃん、『包丁』の『包』は?」
ルビィ「え?」
果南「だから、『包丁』の『包』、は?」
ルビィ「え、え、え、えっと、えっとーー曜ちゃん!」
果南「だめ、人に聞いたら。曜ちゃんも教えちゃだめだよ」
曜「教える以前に、私もわからないけど……」
果南「ほらルビィちゃん。『包丁』の『包』、基本だよ」
ルビィ「基本なの? 」
果南「基本なの」
ルビィ「え、えーと、ほ、ほ……」
果南「十、九、……六(カントし続ける)」
曜「カントだ、始まった……」
ルビィ「えーと、えーと……」
果南「五四三二!」
曜「早くなった!?」
果南「一!」
ルビィ「ほ、ほうちょうのほは、ホップステップジャンプのほーーっ!」
果南「ルビィちゃん」
ルビィ「は、はい?」
果南「あのさ、ひょっとして……ふざけてる?」
ルビィ「へええ!?」
曜「ちょ、ちょっ果南ちゃん、ルビィちゃんも、その……がんばった?わけだし……」
果南「曜ちゃん」
曜「うっ、は、はい(正立)」
果南「代わりに曜ちゃんが言ってあげて。『包丁』の『包』が、何なのか?」
曜「……へ? 」
果南「曜ちゃんはわかってるよね、先輩だし。料理も得意なんだしー」
曜「え、えっと……えーっと……ほ、ほ、ほっ……ホームランー!……とか」
果南「曜ちゃん」
曜「は、はい!違いました、ごめんなさい」
果南「二人とも本気になってよ。包丁の気持ちになってよーっ」
曜、ルビィ「包丁の気持ち?」
果南「ルビィちゃんも曜ちゃんも、包丁をただの包丁としか思ってないでしょう」
ルビィ「へえ!?」
曜「いや、だって……包丁だし……」
果南「包丁はね、命を頂く、その形なの!」
曜、ルビィ「命を頂くその形? 」
果南「そう、『包丁』の『包』って言う感じ。『つつむ』って言う字でしょう?」
ルビィ「わっ!」
曜「言われてみれば… …」
果南「命を包み込む、そういう重いものを包丁は持っているのーー」
果南「軽々しく手にしちゃいけないものなのっ!」
ルビィ「は、はい……」
曜「いや、その中途半端にリアリティがって、何が何だか……」
ルビィ「は、わかったっ!」
曜「え?」
ルビィ「ルビィ、わかったよ!果南さん!」
曜「え?え、って言うか、何がわかったの?」
ルビィ「『包丁』の『包』は……」
曜「あ、そこに戻る……」
ルビィ「『包丁』の『包』は、ほっぺたのほーーっ!」
果南「違いまーす」
ルビィ「え、え……じ、じ、じゃあ……う、う、うえぇ、えっ……ほっきょくぐまのほーーっ!」
果南「違いまーす」
ルビィ「えーー……じ、じゃあ……じゃあ……ううぅ… …ほうこうてんかんのほーーっ!」
果南「ルビィちゃん!」
ルビィ「は……はい?」
果南「包丁の『ほ』は、『ホスピタリティー』の『ホ』」
曜、ルビィ「『ホスピタリティー』?」
果南「そう、これからニッポンに求められてるのは、『ホスピタリティー』なの」
果南「包丁一本にホスピタリティを込めるのがONEの心なの」
果南「ホスピタリティーに始まり、ホスピタリティーに終わるのが『ホスピタリティー』なの。分かる?このホスピタリティーっ!」
曜「……へー?」
果南「曜ちゃんは、分かってるよね」
曜「へ?えっと……たぶん?」
果南「じゃあ、ちゃんと言ってみてー、ホスピタリティーって十回」
曜「言わないよ、っていうか、果南ちゃんだってちゃんとわかってるの?……ほすーぴたりてぃー?」
果南「決まってるでしょう?ほ、ほすーやうぇい」
曜「う、急に言えてないし」
果南「とにかく、包丁は理屈じゃないの、魂なの!
ルビィ「たましい、そうだよね!たましいがだいじだよね!たましいがないとゾンビだもんね! 」
曜「そのネタ、まだ引っ張ってたの?」
果南「ルビィちゃんっ」
ルビィ「はい!」
果南「包丁人になりたいかーーー!」
ルビィ「おおぉーーー!」
曜「いや、なに包丁人ってーっ」
果南「ルビィちゃん、『人』という字は、人が包丁を斜めに持ってたって出來ているの」
ルビィ「ほ、ほ、ほーーーっ!」
曜「いや、なにその新説?」
果南「さあ、ルビィちゃん!」
ルビィ「はい!」
果南「包丁をー!」
ルビィ「持ちます!」
果南「持ちませーん!」
ルビィ「え……?」
果南「まずは包丁を、見る!」
ルビィ「みる!」
果南「そう、見て學ぶのがニッポン、そして、東洋の學びの基本なの」
ルビィ「は、はい……う、ひぃ、みる……みる…… !」
曜「いや、包丁を見て、どうなるの?」
果南「包丁が入ってくる」
曜「入ってくる!?」
果南「そう、包丁をじっと見ることで、包丁が自分に入ってきて、そして、包丁と一つになっているの」
ルビィ「へ、深いね」
曜「っていうか、ちょっと微妙に怖いけど…… 」
果南「さあ、包丁と一つになった?」
ルビィ「……へひ……な……なった……かも」
果南「よし!じゃあ始めるよ」
ルビィ「よろしくお願いしますっ!」
曜「あの……」
果南「まずは三枚おろしから、この捕れ立て新鮮の鯵を捌いてもらうよ」
ルビィ「ひ、うひぃ……は、はい……う、ひ、うぃーー」
曜「あのー、ちょっとー……」
ルビィ「ひぃー……魚が、こっち見たよー」
果南「それはそだって、捕れ立てだもん」
ルビィ「ひぇー……」
曜「あのね、だから、ちょっとー……」
ルビィ「ひやぁ、あ、は、はねたよー」
果南「それはそだよ、捕れ立てだもの」
ルビィ「口が、ぱくぱくしてるっ」
果南「捕れ立てだものー」
ルビィ「鱗がついたー! 」
果南「捕れ立てだものー」
ルビィ「立った!」
果南「捕れ立てだものー」
ルビィ「自分で歩いて、扉を開けて、外に出てバスに乗って、船をちゃーたーして故郷の海にーっ!」
曜「そんな魚はいなーーい!」
ルビィ「ひいぃーー!ご、ごめんなさい、そういうことになれば、お魚を捌かなくてもよくなるかもって」
曜「いいよ」
ルビィ「え?」
曜「だから。捌かなくて、いいよ」
ルビィ「……い、いいの?」
曜「っていうかこれって、クリスマスパーティーの料理を作ろうっていう集まりだよね」
果南「そうだよ」
ルビィ「そうだったの!?」
曜「いや、ルビィちゃんなんの集まりだと思ってたの?」
ルビィ「ルビィはその、果南さんの包丁教室だと」
果南「そうだよ」
曜「そうじゃないよ」
果南「そういう面もあるってこと、包丁は料理の基本だから」
曜「けど、クリスマスケーキを作るのに、三枚おろしは必要ないでしょう?」
果南「必要あるよ。ほら、間にクリームを挾むために、ケーキを橫に三枚にーっ」
曜「それは、三枚おろしとは言わないって」
果南「とにかく包丁は必要だよ。とくに、今回はパーティーの場所が場所だし」
曜「… …へ?」
ルビィ「場所と包丁となにか関係があるの?」
果南「あるよ。だから、ルビィちゃん!」
ルビィ「は、はい」
果南「パーティーの時には、ちゃんと體に曬しを巻いて、そこに包丁を刺していてね」
ルビィ「へーーーーいっ!?」
曜「なに、その昔の任俠映畫みたいなファッション!」
果南「もしものためだよ」
曜「どんな、もしも、なの!?」
果南「何が起こってもいいように?護身用?」
曜「ないよ!包丁を護身用に使うようなことは」
果南「あるってー」
曜「ないってー!」
果南「そんなこと言って……二人ども、知ってるでしょう」
曜、ルビィ「へ?」
果南「今度のパーティー、どこでやるか」
ルビィ「どこで?」
曜「知ってるけど、別に危ないところじゃ……」
果南「危ないよ!だって、ヤバコーヒーだもん」
曜「…………へ?……あの……それはひょっとして、ヤバコーヒーだから……やばい!みたいな?」
果南「さあ、ルビィちゃん!特訓だよー」
ルビィ「あ、は、は、はいっ!」
曜「ちょっと、果南ちゃん?」
果南「ちがうちがう、包丁の握り方はそうじゃなくてー」
ルビィ「え?じゃ、じゃー……こう?」
曜、果南「危なーーーーい!」
ルビィ「びぎいいいぃーっ!」
果南「やばーーーーい!」
曜「だからやばくないって!ヤバコーヒーはーーー!」
<おわり>
お聞きになってありがとうございます
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